緊急災害支援


【東日本大震災支援】閖上中学校卒業生を対象としたサマーキャンプ・レポート

110907.jpgNICCOは、東日本大震災で被災した宮城県名取市にある閖上中学校H22年度卒業生を対象としたキャンプを、この夏、山形県朝日町「Asahi自然観」キャンプ場にて開催しました。震災後、住む場所や高校がばらばらになってしまった仲間たち15名が5か月ぶりに再会。自然の中で過ごしながら、日頃感じている悩みやストレスを語らい、分かち合う場となりました。
NICCOは現在、桑山紀彦医師が率いるNPO法人地球のステージの協力の下、名取市の小中学校の生徒を対象に、途上国で積み重ねてきた心理社会的ケアプログラムを実施しており、今回のイベントはその一環として実施されたものです。


開催の背景 ---幸せな門出の日が一転、被災。離れ離れに

110915.jpg閖上中学校H22年度の卒業生たちは、小学校入学時から(時には幼稚園から)中学校卒業までの9年間を、一緒に成長してきました。そして迎えた卒業式。午後からの謝恩会が終わり、解散した直後に地震が発生し、津波に襲われます。新たな門出の日として、幸せな思い出の1日になるはずだったその日に、彼らは同級生3名や家族の命、家と故郷を失ったのです。
その後寒さの厳しい中、避難所生活を耐え抜き、それぞれが進学した高校での新生活が始まりました。全く知らない者同士の中で関係を築いていくことは、どんな新入生にとっても、不安と緊張の連続です。その上、彼らは被災体験がない圧倒的多数の生徒の中に埋もれてしまっていました。被災体験を話しても共感を得られず分かち合うことができない、「被災者」というだけで周囲から気を使われてしまう・・・などの心理的苦痛を経験しながら、彼らは高校生活を送ってきたのです。


開催風景 ---「天国のお母さんへ、今までありがとう」


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3日間のサマーキャンプには、全卒業生48名(うち3名が死亡)中15名と、
閖上中学校の先生2名が集まりました。
5か月ぶりとなる同級生や恩師との再会に、明るい笑顔と会話で盛り上がる卒業生たち。
一気に震災前の雰囲気が戻りました。
再会を喜んだ卒業生たちは、山形県朝日町の「Asahi自然観」キャンプ場にて、
チームビルディングやメンタルワークなど、様々なプログラムやワークショップに取り組みました。
2日目に行われた「アンガーマネジメント」は、鉄板に描かれた同心円のターゲットに向けて、
内面に抱えている吐き出したいことを言ってから粘土球を投げつけることで、
浄化を得ることを目的としたプログラムです。「怒りや後悔」(赤色)の放出が中心となりますが、
他にも心に抱えている「モヤモヤやストレス」(黄色)や「感謝」(緑色)を、3色の粘土球で投げ分けます。
「松本(元)復興大臣、何考えてんだ!」「学校の先輩へ、簡単に"死ね"なんて言うな!」という
赤球の怒りのメッセージが続く中、一人の男子がゆっくりと位置に立ち、穏やかな声で言いました。
「(天国の)お母さん・・・今までありがとう。」
彼は津波に飲まれ、溺れながらも助かりましたが、妹と母親を失いました。
そんな彼の、亡くなった母親への感謝の言葉に、見守る全員が涙しました。


開催の意義 ---「共感」と「絆」を再確認。新生活の心の支えに

110910.jpg今回のサマーキャンプは、壮絶な被災体験や大きな喪失、生活の激変に歯を食いしばって耐えてきた卒業生たちが、5か月ぶりの再開を果たすことができたという点だけでも、意義があったと思います。彼らの笑顔や会話を通して、再会の喜びが強く伝わってきました。自然と、キャンプの3日間は、彼らの関係性を更に深めていく活動になりました。
キャンプ内のプログラムやワークショップは、「分かち合い」をテーマとしていました。集団の中で個人の気持ちや意志を尊重しながら、一緒に活動していく。震災のこと、自分のこと、相手のことを吐き出し、受け止めてもらう。心理社会的ケアとしてはオリジナリティの高い取り組みでしたが、今回の参加者に合った方法だったからこそ、心の深くまで届いたのではないかと思います。
これから高校生活を送っていく彼らが育んだ「共感」やそれを上回る「同感」。そして、そこから生まれた「絆」。このように決して目には見えないものを再確認できたことが、今回のサマーキャンプの宝物となりました。これから先もこの宝物が、彼ら一人ひとりにとっての心の支えとなることを願います。

※今回のサマーキャンプのより詳しいご報告は、NICCO京都本部ブログでもご紹介しています!
(11月10日から毎週木曜日更新です。全5回)

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