
| パーマカルチャーの概念図 |
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パーマカルチャーとは、オーストラリアのパーマカルチャー研究所・所長ビル・モリソン氏が1979年に確立した理論である。言葉自体の意味はパーマネント(permanent:永久の)とアグリカルチャー(agriculture:農業)の造語で、カルチャー(culture:文化)の意味も含む。単に環境に配慮しただけの生活ではなく、持続可能な無農薬・有機農業を基本とし、水・土・植物・畜産・水産・建造物・人々・経済、都市と農村、これら全てを考慮し、組み合わせて地域全体を設計するところに特色がある。もちろん生産性も求め、デザイン性も考慮される。
また地域の気候・特色を生かし、伝統文化を見直し、現代の我々の生活に取り入れようとする。基本となるのは以下5つの考え方である。
| パーマカルチャーの仕組み ※図内のゾーン1から5の数字は、左記の説明と対応 |
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まず周りの資源(山林、河川、水産物等)、地形、気象、土壌、水、動物などを調査。その土地の可能性や制限を確認し、平時はもとより自然災害時にも耐えうる家屋や用地の利用法を設計する。
日常生活の中で、訪れる必要度と頻度の高い菜園や鶏小屋などを優先的に家屋の近くに配置。必要度の低いものは家屋から離れたところに配置する。効率よく行動できるように設計する。(「ゾーン設計」という。)
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| ヨルダン農場のパーマカルチャー研修センター | 研修センターの空気旋回塔。扇風機の役目をする |
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| 研修センター内は、25から26度に保たれている |
自然エネルギー(日光、風、雨等)を最大限に利用した効率のよい家屋、仕事場、食糧貯蔵庫、温室、遮光ハウス、遮光棚(パーゴラ)を設計し、建造する。
右の写真は、ヨルダンのNICCOパーマカルチャー農園にある伝統建築様式の研修センター。真夏に日中気温50度にもなる砂漠地帯に建つ。断熱効果をあげるために80cm幅の土ブロック壁、熱風を取り込み素焼きの水瓶を並べた部屋(建物右端の大きな窓のある付属物)、太陽の移動によってつくられる日向と影の温度差を利用した空気旋回塔、熱気を天井から逃して冷たい空気を足元に下ろす空気抜き穴(天井の煙突)などがこれにあたる。こういった工夫により、外気温50度の時でも室内は25から26度に保たれている。
台所の扉のすぐ外側、家屋に最も近い領域に設計する。台所排水が家庭菜園へ流れ込むように、ウォーターキャッチメントやバナナサークルなどの仕組みを作る。その場合、合成洗剤は使用せず、固形石けんか粉石けんの使用に限る。(ゾーン1にあたる。)
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| 食糧生産のほか、防風や防虫など、用途に応じて木々を植えわける |
果樹園はまずマメ科植物を植え、土壌中の窒素固定を図り、植林を開始する。地表は緑肥植物や枯葉などの有機物で日覆(マルチ)し、害虫駆除のために忌避植物や罠植物などを混植する。(ゾーン3にあたる。)
水田が不可能な場合でも麦やとうもろこし、粟、稗、キビ、芋などを作り、家畜の飼料を自給する。(ゾーン4にあたる。)
防風林や防火対策用の木を農場周辺に植える。(ゾーン5にあたる。)
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| アヒル、ガチョウなどの糞尿を肥料として農場に流す「ダックジュース」 | 等高線に沿い、保水のための溝(スウェイル)を掘るのに欠かせない「Aフレーム」 |
上質な肥料を得るためにも多少の家禽・家畜を飼育する。鶏、うさぎなどの小さな動物は家屋に近いところで(ゾーン1から2)、養蜂、豚や牛などの大きい動物はやや離れたところで飼う。(ゾーン3または4)。
都市生活をより快適かつ健康的にするためには、循環型省エネシステムが必要。それには都市と農村の交流と協力が欠かせない。都市の台所ごみを農村で有機肥料化して、農村の作物を都市へ還流させたり、住居と職場を接近させたり、こういった自然と人間の共存する環境システム作りが、いま私たちに問われている。(ご意見をお待ちしております。)