平成22年(2010年)度事業計画序文
2009年度は、日本を含む先進諸国がリーマン・ショック以来の経済不況から立ち直れずにいる中、新興国が経済のみならず政治的にも存在感を増し、アフリカを含む途上国でも市場経済発展の萌芽が見え始めた年であった。一方で途上国の貧困層は、否応なく弱肉強食の市場経済のシステムに巻き込まれることとなり、2010年度はさらにその傾向が加速する一年になると思われる。
NICCOは2009年度までにヨルダン、パレスチナ、マラウイにおける各事業が一定の成果を挙げ、区切りを迎えるのに伴い、2010年度よりアフリカにおける貧困削減と、アラブ社会における青少年支援のモデル構築をさらに進め、また中東和平に寄与するパレスチナでの農家と女性支援を継続して展開して行く。また、引き続き広報啓発活動の充実によって寄付金収入の増加を図り、事業実施体制の安定を図ると共に、2009年度に開始した新公益法人制度下における公益認定を完了させ、新たに公益社団法人として組織を再始動する予定である。
2010年度に実施予定の事業の概略は以下の通りである。

1. アフリカのマラウイでの貧困削減
過去3年間、南部アフリカの最貧困国マラウイのンコタコタ県において食糧増産、衛生改善、環境保全による総合的な村落開発によって「飢餓の起きない村づくり」のモデル構築を行い、特にエコサントイレの導入が現地行政や国連機関から高い評価を得るに至ったことから、2010年度よりドーワ県に地域を拡大して、同国全体へのモデル普及に向けた事業展開を行う。また3年目となるマラリア、HIV/AIDS等の感染症対策事業も、日本人専門家の協力を得て成果の定着を図る。

2. ヨルダン・パレスチナでの支援
1991年以来活動を続ける中東においては、ヨルダンにて2000年より支援を続けて来た南シューナ地区の女性グループへの支援を完了し、活動を現地NGOに移管する。また、2007年より継続して来たヨルダンに住むイラク難民の心のケアについても、事業を完了して現地NGO等への移管を行う。一方で、以上2つの事業で得た経験を生かし、現代のアラブ社会が直面する青少年の失業問題への対応のため、新たに青少年の能力開発と地域の安定化支援を開始する。一方、イスラエル占領下のパレスチナにおいては、3年目となるオリーブオイルの品質向上とマーケティングによる貧困農家支援を継続し、特にオリーブの害虫対策と女性グループの収入創出活動に力を注ぎ、ヨルダン、パレスチナ両国のネットワークを生かした支援を行って行く。

3. アフガニスタンに対する支援
2009年度より開始したイランのアフガン難民に対する就職・帰還支援センターの運営を継続しつつ、アフガニスタン側でも、引き続き現地NGOと協力して女性を中心とした職業訓練や識字教育を行い、両国でのネットワークを生かして、難民の帰還と自立を支援する。また、アフガニスタン国内において、新たに復興支援活動を展開するための調査を実施する。

4. ハイチ、中国四川での支援
2009年2月に発生したハイチ地震の被災者に対して、シェルター建設、エコサントイレによる衛生改善、学校再開、心理社会的ケア等の支援を継続して実施する。さらに隣国の中国において、四川地震の被災者に対する心理社会的ケアや収入創出等による復興支援を継続するための、調査を実施する。

5. 日本国内での広報啓発と人材育成
京都と東京を中心に、国際協力と環境保全に関する広報啓発活動を行い、日本の市民社会、特に若者層が国際協力への理解を深めることに貢献する。そのために1996年より実施しているインターン制度を引き続き運用し、国際協力に強い関心を持つ若者を研修生として受け入れ、滋賀県竜王町のモデルファームや京都本部において農業、適正技術、マネージメント、事務・会計処理等の研修を行なった上で途上国にボランティアとして派遣することで、国際協力分野でリーダーシップを取れる人材の育成に力を注ぐ。