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                                  【イラク避難民人道支援事業】    
   【概要】
・目的:イラク、ヨルダンの両国の子どもを対象とした心理社会的ケア、イラク避難民およびヨルダン人貧困世帯への
食糧配布
・期間 :2007年11月2日〜2008年4月1日
・対象者:ヨルダン人とイラク避難民の小学5年生、イラク避難民およびヨルダン人の貧困世帯
・事業委託団体・助成団体:(特活)ジャパン・プラットフォーム
 
【背景・目的】
2003年のフセイン政権崩壊以降、激化する戦闘と治安の悪化により、ヨルダンに避難しているイラク人は50〜75万人上ると言われています。イラク避難民の多くは労働許可を持たず、職を得る事ができないため、最低限の生活費すら賄えない状況にあります。また、イラク人の多くは家族や親戚が殺害や誘拐等の被害に遭った経験から不安を抱えており、心理的側面での支援を必要としています。さらに、イラク避難民とヨルダン人間の葛藤が生じることも懸念されています。そこで、NICCOはイラク避難民に対して、下記の支援活動を行います。

1)心理社会的ケア: イラク、ヨルダンの両国の子どもを対象に心理社会的ケアを行い、イラク避難民特有の心理的問題に対応しつつ、ヨルダン人とイラク人の相互理解に資するよう心理的側面からサポートします。


2)食料の配布: 現在ヨルダン人コミュニティから切り離され、公的な支援を受けることができないイラク人の貧困世帯およびヨルダン人貧困世帯に最低限の生活を保障するため、食料配布を行います。

                                           2008年3月7日  
 

F期間:2008年1月6日(日)〜1月12日(土)

【心理社会的ケア】 

・第14・15回心理社会的ケアワークショップ(ドラマセッション第7・8回目実施)
 19日・20日のドラマ発表会を目前にして、ドラマセッションの第7・8回目では、立ち稽古を中心に行い、演じる役の心理をより的確に表現するためのツールについて、各自で工夫を重ねた。音楽と衣装を実際に使用してリハーサルを行い、撮影したビデオを全員で見ることで、各自が自分の表現方法や全体とのバランスについて考える機会を設けた。

【食糧供与】

 ・食糧供与予定の家庭調査
 ヨルダン人のモニタリングでは、配給内容に関して満足しているとの回答がほとんどで、配給前は食事回数が一日2回きりであったのが、ほぼ全世帯において3回に増加した。最も必要としているとしては、キャッシュ・アシスタンスと答えた世帯がほとんどで、世帯あたりの収入は33JD〜150JDであった。多くの世帯が、暖房設備の全くない場所で生活しており、屋外と気温が変わらない状態で、風邪を引いたり、血圧の異常を訴える者が多く見られた。
 さらに、第2回食糧配給の対象予定者のベースライン調査として、イラク人家庭の調査を継続して行ったが、他の国際NGOから支援を受けていない世帯を探すことは非常に難しいことが判明した。前回の配給家先の該当地区のみならず、広域的に調査を行ったが、Terre-des Hommes、Caritas、JAAHから重複して食糧配給を受けており、医療に関しては Caritas と Italian Hospital の支援を受けている世帯が大部分である。生活環境は、ヨルダン人貧困層に比べると、小さなストーブ程度は備えており、若干整ってはいるが、心理的な問題に関して大きな悩みを抱えている世帯が多く見られた。失業による自信喪失、戦争により肉親を失ったことによる幻覚・幻聴症状、生活水準が低下したことへの諦念や怒り、テロに対する不安、祖国へ帰還できない無念、滞在許可証が得られないことによる不安、イラク人であるがゆえに学校やコミュニティから疎外される無念等を、多くの世帯が訴えている。従って、今後イラク人に関しては精神面におけるサポートを強化していくこととし、第二回目の配給先100世帯の内訳に関しては、配給する食糧をより有益に使用するため、貧困と寒さに苦しむヨルダン人貧困層を約70世帯とし、重複して食糧配給を受けているイラク人世帯に関しては約30世帯とする方向で検討している。

    

リハーサルの様子@

    
  
リハーサルの様子A

G期間:2008年1月13日(日)〜1月19日(土)

【心理社会的ケア】

・第16・17回心理社会的ケアワークショップ(ドラマセッション第9・10回目実施)
 第16・17回は、実際の舞台公演会場を使用してリハーサルを行った。第16回では、実際に舞台に立ってみると、相手と適切な距離の取ることがなかなか難しく、また客席に背中を向けたり、一列になって並んでしまうために客席からは後ろ側の人物が見えない状態になってしまう場合が多く、全体で舞台での適切な立ち位置の確認、身体の見せ方等を学んだ。発声に関しては、どの子どもも臆することなく表現しており、特に声が聞き取りづらいということはなかった。第17回では本番に近い状態で音響と照明を使用、子どもたちはNICCODセンターという通い馴れた空間で演じていたところから、臨場感を伴った空間上に立つことによって、「舞台で演じる」ということと、「観る者」と「演じる者」の相関関係について把握するようになり、より熱の入った芝居を堂々と演じた。

・第18回心理社会的ケアワークショップ(ドラマセッション第11回目実施)
 1月19日(土)、20日(日)に、ザルカ県ザルカ市商工会議所ホールにて、舞台発表会を実施した。

<1月19日(土)>

・Bグループ公演
演目:「あの頃の思い出」
演出:シニアプロジェクトオフィサー ディンディ・アデストラ
時間:12:00〜12:40
観劇者:計120名
内容:イラク避難民の少年が、ヨルダンの小学校に入学するが、周囲に馴染めずいじめられる。少年の心の中には、常に楽しかったイラクの思い出と大好きな羊のサミンを失った悲しみがあり、学校でも一人孤独に毎日を過ごす。様々な出来事を通じて、次第に周りと仲良くなりヨルダンの生活に順応していくまでの姿を、コミカルな場面も挿入しつつ描いた作品。
状況:インドネシアより派遣されたシニアプロジェクトオフィサーのディンディ・アデストラが台本を書き上げ、演出を担当した。ワークショップの初期段階では、非常に乱暴な行動を取る少年が多かったが、学校問題を素朴に提示した台本を通じて、いじめ、イラク避難民、仲間との友情等について各自の思いを演技を通じて表現するようになり、さらに演劇という身体的表現自体が、ストレスを多くためた子どもらに取って有効なエネルギーの発露となった面もある。ディンディは、羊のサミン役を演じ、コミカルな演技に観客の笑いと拍手を浴びた。

・Cグループ公演
演目:「ああ、雇われる身になってみれば…」
演出:フサム(ヨルダンナショナルカンパニープロダンサー)、ジョン(役者)
時間:14:00〜15:00
観劇者:計240名
内容:豪奢な家に住むラエード婦人は心根が優しく、家政婦のラニアにも常に思いやりを持って接していたが、隣人に家政婦には厳しく対応しないとやがて働かなくなってしまうとそそのかされる。隣人が帰った後に、そのことについて考えるラエード婦人の前に悪魔と天使の心が交錯する。悪魔の心にひかれてしまったラエード婦人は翌日から家政婦のラニアを酷使するようになる。ラニアは、豹変してしまった婦人の心に衝撃を受け、悲しみにくれるが、苦しい日々に耐えられず、ある日決意して村の長を訪ねる。ラニアは、村人の前で全てを語り、村の長はラエード婦人を呼び、事の真相を尋ねる。憔悴したラニアの姿を見たラエード婦人の心の中に反省の心が芽生え、悪魔の心に囚われてしまったことを許してほしいとラニアに謝り、大団円を迎える。
状況:子どもらが全編のストーリーを考え、ファシリテーターが編集した作品。誰しもの心の中にある善悪を、天使と悪魔という形で具現化することが、子どもら自身にとって非常に興味深いものであり、特に悪魔役を与えられた少年は、舞台上で拍手喝采を浴びるまでに身体と声を駆使した表現方法を体得した。日常の中にある雇用者と被雇用者の関係、差別、嫉妬等を子どもの視点で巧みに捉えた点も観客から評価された。

・Dグループ公演
演目:「返して、私たちの平和」
演出:ラグダ・ブシュナック(脚本・演出家)、ハニン
時間:16:00〜17:00
観劇者:計250名
内容:ヨルダン人の兄弟が、様々な国籍の子どもらが集まったフェスティバルに参加し、戦争で心に様々な傷を負ったイラクやパレスチナ難民等の子どもらの話を聞く。家庭内暴力、児童労働、人種差別、貧困、戦争による肉親との離別等にあえぐ子どもらが終盤で集結し、「返して、私たちの平和」と歌いながら、平和な子ども時代を過ごしたかったという切なる願いを観客に向かって伝える。
状況:イラク・パレスチナ避難民や実際に家庭内暴力等を体験している子どもらがアイデアを出し合い、過去に脚本を高く評価された経歴を持つラグダ・ブシュナックが台本の書き上げと演出を行った。場面の区切りごとに、平和や戦争の悲しみを子どもらが高らかな声で歌い、平和へのメッセージが終盤に近づくに連れて高まるように巧みの構成されており、観客からの拍手喝采を浴びた。


【食糧供与】

・食糧供与予定の家庭調査
 前回の食糧配布時の前後に日々100件以上のイラク避難民から問い合わせがあり、既に他の国際NGOから食糧配給を受けているがNICCOからも食糧を受けたいという要望であったため、モニタリングに関しては、イラク避難民の期待を煽ることのないよう、現段階においては電話等による調査にとどめる。前回のモニタリング結果を受けて、次回の配給内容に関しては特に必要度の高い油やパウダーミルクを増量し、廉価で購入できるお茶やパスタ、さらに破損の恐れのある蜂蜜は省くこととした。さらに為替相場の変動を受けて、前回の予算75JDであったのに対し、今回は一世帯あたり80JDに設定する方向で検討している。


 「ああ、雇われる身になってみれば…」

「返して、私たちの平和」
 

 


 


  その他の活動報告はこちら 
2007年11月18日〜12月1日 2007年12月2日〜2007年12月15日 2008年12月16日〜2008年1月6日 2008年1月20日〜2月2日
 

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