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● マシャッドのゴルシャールで職業訓練校を開くこと ●
NICCOの職業訓練校があるゴルシャールという地区は、イラン第2の都市マシャッドのすみっこに位置しており、一見して裕福さが感じられない地区である。住民のほとんどがアフガン難民で、そうでなければイラン人の貧困層。だが、経済状況はともあれ、イラン全体のどの地と比べても、アフガン人率が高いおかげで、貧しいけれどもイラン人からの差別や中傷は少なく、アフガン人が安心して暮らせる場所となっているよう。そして、このコミュニティの特徴は、ずっとここにいたわけでもなく、またこれからずっとここにいようと思っているわけでもなく、今だけ一時的に住んでいるという意識をもっている多くの人々(特に若者)によって構成されていることである。
生まれた土地であるけど母国ではない、ずっと住んでいるけれども本来住みたい場所ではない。そんな宙ぶらりんの中途半端な場所が、記憶の中の嫌な部分ではなく転機となるよう、彼らをとりまく状況に左右されるばかりではなく彼らの力で将来を選ぶことができるよう、この学校はここにある。
● 職業訓練校開講から3年が経った今 ●
そうして、2003年にNICCOが開始したこのアフガン難民とイラン人貧困層に対する職業訓練と就職支援事業。3年経った今、設備も、スタッフも、生徒もそろい、2年後には運営を現地に完全に任せることができるよう、目下準備中。
学校運営に必要な、調整、管理、会計などのノウハウを引き継いでいくというのももちろん重要であり、基礎となる部分だが、このプロジェクトの目標は単なる学校運営ではなく、アフガン難民の帰還支援と就職支援。そのゴールの前において、何よりも引き継がれなければならないのは、その学校設立の目的と存在意義だ。
今ここで日本人だからこそできるとても重要な仕事は、独立に向けての一番の支障を解決すること、すなわち、イラン人とアフガニスタン人の確執と緊張をほぐし、信頼関係をつくること。イラン人からアフガン人に対する軽蔑は甚だしく、アフガン人からイラン人に対する不信感は根強い。 生徒の多くが学校をイラン人に任せてしまうことに大きな不信と不安を抱いている。「市街によくある他の学校と同様に、学費が値上がりして、質が落ち、差別を受け、アフガン人は来られなくなるんだ。」というように。
イラン人、アフガン人、生徒、先生、管理者側が歩み寄り、足並みをそろえることがこの学校の本来の目的を達成するためには欠かせない。ひとりががむしゃらになっても空回りするだけ。だれかがやる気を失うと、ばらばらになる。全員が同じ目的のもと、同じ方向を向けるよう、じっくりと、目立ちすぎず、引っ込みすぎず、力みすぎず、おそれずに、丁寧に、数ヶ月間みまもりたい。
解決に時間が必要な課題だが、時間があるからこそ時間が費やされにくい。時間に追われているわけではないので、緊迫感が薄れ、優先順位が低くなり、状況が停滞してしまう。現地では、自分で状況を作らなければ、何も生まれず、自分が努力しなければ何事も前にすすまない。長期間かけての目標達成や、いろいろな兼ね合いの中でやりくりするのはさぞかし難しいんだろうなぁと、ため息がでる。長期間にモチベーションを維持し、行動に移すことがどんなに大切かつ大変であるか考えると、恐ろしくなる。そして、ここまで到達させることができた、過去このプロジェクトに携わった人達の熱意と努力は、凄まじかったんだろうなぁ、と想像する。
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